
夏の会議室は、寒いくらいに冷えている。それなのに、なぜか頭が回らない。体はだるいし、肩は重い。外回りから戻ってくると、しばらく仕事にならない。
心当たりのある方は、多いんじゃないでしょうか。
暑さそのものが判断力を削る話は、夏バテと判断力という記事に書きました。今日はそれとは別の、エアコン疲れとでも呼ぶべき不調の正体と、会社でできる整え方の話です。
パブロ冷房を否定する話ではありません。使い方の話です。
エアコン疲れの正体としてよく挙げられるのは、温度そのものではなく「温度差」
「冷房病」や「クーラー病」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。実はこれ、正式な病名ではありません。夏の冷えから来るだるさ、頭痛、肩こりといった不調をまとめて、そう呼んでいるだけです。
正体としてよく指摘されるのは、室内と室外の温度差です。
人間の体は、暑ければ汗をかいて熱を逃がし、寒ければ血管を締めて熱を守る、という切り替えを自動でやっています。この切り替えを担っているのが自律神経です。そして、体への負担が少ない温度差の目安として、5度前後という数字がよく挙げられます。
真夏の外が35度、会議室が25度なら、その差は10度。ドアひとつで、体は真夏と初春を往復していることになります。外回りの多い経営者や営業担当は、この往復を1日に何度も繰り返している。体がついていかなくなるのも、無理はありません。
冷えたオフィスで、静かに起きていること
温度差で自律神経に負担がかかると、だるさ、頭痛、肩こり、冷えといった不調が出やすくなると言われています。どれも「病院に行くほどではない」と見過ごされやすい不調です。だから多くの人は、我慢してそのまま働きます。症状が強いときや長引くときは、我慢せず医療機関で相談してください。
ただ、頭痛を抱えたままの会議と、体が軽い状態の会議とでは、議論の質は同じになりません。我慢は、静かに仕事の質を削っていきます。
- 午後の会議で、いつもより話がまとまらない
- デスクに向かっているのに、作業が進まない
- 夕方になると、どっと疲れが出る
夏にこういうことが続くなら、原因は本人のやる気ではなく、オフィスの環境の側にあるかもしれません。以前、判断ミスが増えた経営者は、戦略ではなく体を疑えという記事を書きましたが、社員の生産性についても、同じ見方ができると思っています。
会社でできる、夏の整え方


対策としてよく挙げられるのは、こんなところです。
- 設定温度は下げすぎない。真夏の室内は26〜28度あたりがよく挙げられる目安。外気との差が開きすぎていないかも気にしてみる
- 冷風を人に直接当てない。風向きを調整するか、サーキュレーターで空気を回す
- 羽織ものや膝掛けを遠慮なく使える空気をつくる
- 外から戻った直後は、少し体を慣らしてから重い仕事に入る
大がかりな投資は要りません。今日の午後からできることばかりです。



僕も夏の移動の後は、すぐに商談や判断に入らず、ひと呼吸置くようにしています。体が落ち着くと、頭も戻ってきます。
「ちょうどいい温度」は人によって違う、が出発点
もうひとつだけ。オフィスの温度の難しさは、ちょうどいい温度が人によって違うことです。
体格や体質で体感は変わります。同じ26度でも、暑いと感じる人と寒いと感じる人が、同じ部屋で働いている。どちらかが我慢する構図になっている職場は、少なくないと思います。
だから、温度は設備の話であると同時に、コミュニケーションの話です。「寒くない?」のひと言が言い合える職場なら、設定温度の1度2度は、いくらでも調整できます。夏の労働環境を整えることは、経営者が率先して動ける仕事のひとつだと、僕は思っています。
エアコンは、夏の仕事に欠かせない道具です。道具は、使い方しだいで、体を守ってくれることも、負担になることもあります。
温度差は開きすぎないように。風は直接当てない。戻ったらひと呼吸。オフィスの夏を整える参考になれば嬉しいです。
この記事のまとめ
- 「冷房病」は正式な病名ではなく、夏の冷えから来る不調の通称
- 正体としてよく指摘されるのは室内外の温度差。負担の少ない目安は5度前後と言われている
- 「病院に行くほどではない不調」が、会議や作業の質を静かに下げる
- 設定温度は下げすぎず、真夏は26〜28度あたりが目安。風を直接当てず、羽織ものを使える空気をつくる
- ちょうどいい温度は人によって違う。温度は設備の話であり、コミュニケーションの話でもある










