
目標を立てる時間より、見直す時間のほうが大事だ。
私はそう考えています。
多くの会社は、逆になっています。期の初めに半日かけて数字を並べ、資料にまとめ、全員に配る。そこまではきちんとやる。ところが、その資料をいつ開くかは、どこにも決まっていません。
目標が続かないのは、立て方だけが原因ではありません。立てたあとに、それを開く日と開く人が決まっていないことのほうが大きい。
開かれないまま期が終わると、次の期にまた新しい目標が立て直されます。これが何年か続くと、目標を立てること自体が、実務と切り離された行事のように受け取られていきます。
パブロ今日は目標の立て方ではなく、立てたあとに何が起きているかを書きます。
目標が続かないのは、立て方が悪いからではない
目標の立て方は、いくらでも学べます。数字で書く。期限を切る。小さく分ける。どれも正しいことが書いてあります。
それでも続きません。理由は単純です。目標を立てる手順はあるのに、立てたあとに使う手順がないからです。
立てるほうには、決まりごとがあります。いつ集まって、誰が資料を作って、どうやって全員に配るか。だいたいの会社で決まっています。
使うほうには、それがありません。いつ開くのか。誰が開くのか。開いて何を話すのか。決まっていないので、誰も開かない。
目標が消えるのは、立てた瞬間ではなく、この空白の中でです。
結果の数字だけを置くと、見ても動けない
売上、利益、契約数。目標を数字にすること自体は、間違っていません。数字は、届いたかどうかがはっきりします。
困るのは、結果の数字だけを置いたときです。
たとえば「今年の売上は三億」と決めたとします。半年経って、二割足りない。この数字を見て、明日の朝いちばんに何をしますか。
売上や利益は、いろいろな要素が動いた結果として出てくる数字です。そこには次の一手が書いてありません。見た人は「まずいな」とだけ思って、目の前の仕事に戻ります。これが何度か続くと、見るのをやめます。
だから、結果の数字の隣に、自分たちで動かせるものを置いてください。
- 売上を追うなら、月にどれだけ商談ができたかを隣に置く
- 利益を追うなら、どこを動かすと利益が変わるのか、影響の大きいものを一つ決めておく
- 契約数を追うなら、提案まで持ち込めた件数を見る
見る間隔は、結果の数字は月に一度、隣に置いたものは週に一度。これは一例で、業種や判断の速さによって変わります。資金繰りのように、もっと短い間隔で見るべきものもあります。
こうしておくと、数字が足りない月にも「商談が先月より五件少ない」と分かります。ここまで見えて、はじめて手が動きます。
未来から逆算するときに、抜けやすいこと
日々見る数字が決まったら、その先にある中期の目標も見ておきたいところです。
三年後の姿を描いて、そこから逆算する。よく使われるやり方です。
これがうまくいくのは、描いた未来と今のあいだに、道がつながっているときです。
つながっていないまま逆算すると、無理が一年目に集まります。三年で三倍と決めたとして、では来年いくら伸ばすのか。人は何人増やすのか。その資金はどこから出るのか。ここが空欄のままだと、計画は最初の年で止まります。
逆算するときに見ておきたいのは、三年後の姿ではありません。そこへ行く途中で、手元の資金がいちばん薄くなる時期のほうです。


人を増やせば固定費が先に上がり、その人が利益を出すまでには時間がかかります。設備を入れれば、回収までのあいだは出ていくばかりです。どの年にそれが重なるのかは会社ごとに違うので、自社の計画の上で確かめておく。



未来を大きく描くのは、いいことです。ただ、いちばん苦しい時期の資金繰りだけは、先に見ておいてください。
目標は、この順番で決めると続く
ここまでの話を、毎年の目標設定に落とすと、こうなります。私が有効だと感じているのは、次の順番です。
- 今年やらないことを先に決める。手を広げたくなる話は、毎年いくつも来ます。先に断るものを決めておくと、残ったものに時間を使えます
- いちばん動かしたいものを、ひとつだけ選ぶ。売上か、利益率か、人か。ふたつ以上あると、現場はどちらを優先するか迷います。資金繰りのように、常に守っておくものは目標とは別に置いてください
- その手前に、自分たちで動かせるものを置く。前の章に書いたとおりです
- 誰がいつ見るかを決める。ここが抜けると、社長が忙しくなった月に止まります
四つ目を決めている会社は、あまり多くありません。目標の中身より、見る人と見る日が決まっているかどうかで、続き方が変わります。
その目標が資金や人の面で無理のない形になっているかは、前の章の逆算のところで確かめてください。
事業をどの方向に伸ばすかという話は、中小企業の成長戦略のほうに書きました。
見直す日を、立てた日に決めてしまう
目標を立てたその場で、次に見直す日をカレンダーに入れてください。
一年に一度ではなく、三か月に一度。まずは三十分を取っておいて、話すことが多ければ別に時間を作る形で足ります。
その時間に見るのは、達成率ではありません。
- この目標は、今も追う価値があるか
- 数字が動いていないなら、隣に置いたものは実行されているか
- 前提が変わっていないか
三か月のあいだにも、市場や社内の前提が変わることがあります。変わったのに目標だけが期初のままだと、現場は「これは意味がない」と感じます。そう思われた目標は、もう見てもらえません。
見直しは、目標を守るためではなく、使い続けるための時間です。
目標でつまずいている会社の多くは、立て方を知らないわけではありません。
立てたあと、それを開く日と、開く人が決まっていないだけです。
まずは今年の目標をもう一度出してきて、次に開く日をカレンダーに入れる。そこから始められます。それだけで、目標が日々の判断に使えるものに近づいていきます。
この記事のまとめ
- 目標が続かないのは立て方だけの問題ではなく、立てたあとに開く日と開く人が決まっていないことが大きい
- 結果の数字だけでは次の一手が分からない。隣に、自分たちで動かせるものを置く
- 未来から逆算するときは、手元の資金がいちばん薄くなる時期を先に確かめる
- やらないことを先に決めて、いちばん動かしたいものをひとつに絞る。常に守るものは目標とは別に置く
- 目標を立てたその場で、三か月後の見直し日をカレンダーに入れる











コメント