
マーケットリサーチと聞くと、調査会社に大金を払って分厚いレポートをもらう、大企業の営みを想像するかもしれません。
僕の考えは違います。マーケットリサーチとは、思い込みではなく、確かめたことで商売の判断をするという姿勢のことです。そして小さな会社には、小さな会社に合った確かめ方があります。かかるのは、お金というより時間と手間です。
今日は、そのやり方を書きます。
パブロ道具の話の前に、ひとつだけ。調査は、思い込みで外す回数を減らすためにやるものです。
なぜ小さな会社ほど、確かめてから動くべきか
大きな会社なら、新しい商品がひとつ外れても屋台骨は揺らぎにくい。小さな会社は、仕入れ、設備、人の時間と、一回の勝負が経営に占める割合が大きい。だからこそ、打つ前に確かめる価値も大きいんです。
以前、中小企業の成長戦略の記事で、戦略づくりは現状を知ることから始まると書きました。マーケットリサーチは、その「知る」の部分を支える道具です。
お金をかけずにできる、4つの調査方法
- お客さまに直接聞く
- アンケートで広く集める
- 現場を見に行く
- すでにある数字を使う


1つ目は、お客さまに直接聞くことです。
安くて、深く聞ける方法です。買ってくれた理由、迷った点、他に比べた店。まずは10人、知りたいことに合う相手を選んで丁寧に聞くだけで、見える景色が変わります。聞き方のコツは、顧客の心を動かす、5つの質問という記事に書きました。
2つ目は、アンケートで広く集めることです。
インタビューが「深さ」なら、アンケートは「広さ」です。今は無料のフォームで簡単に作れます。設問は数分で答え終わる量に抑えて、答える人の時間を奪わないこと。自由記述欄をひとつ置いておくと、選択肢の外にある声が拾えることがあります。
3つ目は、現場を見に行くことです。
お客さまの言葉と行動は、いつも一致するとは限りません。だから、言葉だけでなく行動も見る。自分の店なら、お客さまがどこで立ち止まり、何を手に取って、何を戻すか。同業の繁盛店に足を運んで、自分の店との違いを数えるのも立派な調査です。
4つ目は、すでにある数字を使うことです。
売上台帳、リピート率、時間帯別の客数。新しく調べる前に、手元の数字を並べ直すだけで分かることはたくさんあります。外の数字なら、国や自治体の統計、業界団体の資料が無料で使えます。
調査を無駄にしない、3つの心がけ
1つ目は、知りたいことをひとつに絞ることです。あれもこれも聞くと、答えはぼやけます。「新メニューの候補AとB、常連のお客さまはどちらに魅力を感じるか」のように、判断につながる問いを立ててから、それに合う調べ方を選ぶ。
2つ目は、都合のいい聞き方をしないことです。「この商品、いいと思いませんか」と聞けば、たいてい「いいですね」が返ってきます。人は面と向かって否定しにくいものです。答えを誘導していないか、設問を疑ってください。
3つ目は、調べた結果を判断に使うことです。調査で一番もったいないのは、集めた声をそのまま眠らせることです。やる、やらない、もう少し調べる。どれでもいいので、結果を次の判断につなげる。動いてみた結果が、また次の調査になります。



完璧な調査を目指す必要はありません。数人にでも聞けば、思い込みだけで決めるよりずっと確かです。誰に聞くかだけ、気をつけてください。
マーケットリサーチとは、要するに「お客さまと市場に、ちゃんと聞いてから決める」というだけのことです。
まずは今週、お客さまひとりに「なぜうちを選んでくれたんですか」と聞いてみてください。そこから始まります。
この記事のまとめ
- マーケットリサーチとは、思い込みではなく確かめたことで判断する姿勢のこと
- 一回の勝負が重い小さな会社ほど、打つ前に確かめる価値が大きい
- お金をかけない方法は4つ。直接聞く、アンケート、現場を見る、手元の数字を使う
- 知りたいことをひとつに絞り、誘導せずに聞き、結果を次の判断に使う
- 完璧を目指さない。数人に聞くだけでも、思い込みだけで決めるより確か











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